日本の太陽光発電市場は米国、カナダ、ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、スペイン、チリ、そしてインドを含む主要国のなかでも、最も断片化率が高いということがGTM Research社およびSOLICHAMBA社により発行された調査報告書「Solar PV Asset Management 2017-2022: Markets, Investors, Asset Managers, and Software」で確認されました。ソーラープラザもパートナーとして、調査の協力を行いました。

日本の市場はどのように断片化されているのか?他国と比べどのような状況なのか?調査レポートの概要と共に説明していきたいと思います。


トップ20企業の市場シェアは10%未満

GTMリサーチ報告書で挙げられたトップ10企業の2016年末までのNetベース設置容量は1.8 GWDCで、トップ20企業では2.6 GWDCという結果がでています。国内の10kW以上の容量の太陽光発電システム 合計設置容量ベースに対し、トップ10企業はおよそ7%のシェアを占めており、トップ20の企業で見ると10%のシェアを占めています。

 1MW以上の太陽光発電システムにのみ絞った場合、シェアはトップ10企業で14%、トップ20企業で21%と増加していますが、この市場シェア率は世界各国の市場と比較すると、依然低いままです。この市場シェア率の低さの理由については、いくつかの要因があります。

 下記はGTMリサーチ社が発行したレポート内の「日本の太陽光発電事業者リスト」の一部です。弊社が発行した「日本の稼働済み太陽光発電所ポートフォリオTOP30」のデータとは異なっておりますが、これは調査方法や時期、容量のカウント方法が異なるためです。(GTMリサーチ社はNET容量をカウントするのに対し、Solarplaza社はアナウンスを基にGross容量でカウントしています。)


順位 事業者名 業種 2016年12月31日までの総容量
Net容量MW
2016年12月31日までの総容量
Gross容量 MW
2016年中に追加した容量
Net容量MW
2016年中に追加した容量
Gross容量 MW
風力発電ア
セット
1 オリックス (*) IPP 370 435 242 285
2 ユーラスエナジー(P) IPP 296 296 5 5
3 NTTファシリティーズ プロジェクト開発 200 200 53 53
4 丸紅 (P) IPP 200 200 3 3
5 SBエナジー IPP 168 276 18 18

データ:SOLICHAMBA. 上記の情報は特別な表記がない限り、企業により提供されたデータである:例外として:(P)の表記があるものは公表されているデータを利用、(*)の表記があるものはGross(総容量)のみ提供され、Net容量は調査員によって推定した数値である。


要因1: 共同事業によるパートナーシップが頻繁に行われている

GTM ResearchとSOLICHAMBAは企業(事業者)のを分析する際、従来のエネルギー業界で使用されているものと同じ指標を採用しています。所有アセットについては、Netベース容量(正味容量)=発電所の総容量に特定の事業者が所有するシェア率を乗じたものに等しいという考え方です。事業者が10MWの太陽光発電所の50%を所有する場合、純容量は5MWとカウントしています。
 発電所の共同所有は日本では珍しくなく、特に大規模発電所に対しては当たり前のように行われています。例えば「レナトス相馬ソーラーパーク(52.5 MW)」は、九電工 (40%)、オリックス(30%)、ベルテクノエナジー(19.8%)、九電みらいエナジー(10%)、北斗電気設備工事(0.2%)によって共同所有されています。GTMリサーチによる分析では、日本のトップ20企業の平均ポートフォリオ(発電所)所持率は80%で、ドイツやチリ(97%)、そしてイタリア(82%)など比較すると所持率は低いということがわかります。

要因2: ポートフォリオと太陽光発電所の規模は比較的小さいままである

日本のトップ20企業における所有太陽光発電所の純容量(Net容量)のデータをみると、トップ20企業は平均で129MWを保有しているということがわかりました。日本の太陽光発電所ポートフォリオの規模は米国(平均921MW)に比べ遅れをとっていますが、その他のヨーロッパ諸国(英国、ドイツを除く)よりも優れています。日本は米国と違い土地スペースの制約があるため、大規模メガソーラー発電所の市場が急速に拡大することはありません。日本では1MW~5MW規模のメガソーラー発電所の設置容量が、5MWを以上の規模のメガソーラー発電所よりも5倍多いです。米国とは正反対の比率です。この事実からも、日本はイタリア、フランス、スペインなどの欧州市場と同等のレベルだといえます。

要因3:商用セグメントの太陽光発電システムの多さと断片化率の高さ

日本の商用太陽光発電所のセグメント(10kWAC~1MWAC間の規模の発電所)は、2016年末までの時点で導入量は14GW以上です(GTMリサーチ社調べ)。これはメガソーラー発電所のセグメントよりも多い導入量です。この状況と同じなのがドイツとイタリアの市場で、どちらも高いレベルの断片化を確認することができ、商用セグメントではほとんどの太陽光アセットが個人事業者や小規模投資者に属しています。特に日本は太陽光発電システムに投資するための財政的手段が十分にある大・小企業が多いため、ドイツやイタリアと同様の現象が起きていると考えられます。

要因の組み合わせ

まとめると、日本のPV投資企業の状況は世界中の多くの市場と同じ特徴がみられ、非常に高い断片化については、日本独特のものではないと考えられます。その代わり、共同投資の構造、比較的小さな発電所やポートフォリオサイズ、そして小規模投資企業が商用太陽光発電システムを所有しているといった事実など、さまざまな要因の組み合わせが、投資事業者(太陽光発電事業者)の断片化率の高さに寄与していると考えられます。

日本は当面の間市場の勢いが低減し、セカンダリー市場の活動が制限されるため、日本の市場はこれからも引き続き高い断片化率を示すことになるでしょう。


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今回の記事で述べたGTM調査レポートの概要(市場の規模や動向、予測、事業者やアセット管理サービスプロバイダーの状況、日本を含む世界の主要なPV市場の動向に関する包括的な分析調査)についてより詳しく知りたい方は、GTMリサーチが2017年5月に発表する「Solar PV Asset Management 2017-2022」の調査レポートをご参照ください。(完全版レポートは有料です)

完全版レポートは下記のリンクからご購入いただけます(英語ページ):
https://www.greentechmedia.com/research/report/solar-pv-asset-management-2017-2022

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